拠点間の業績に差がつく一つの要因
NKB通信2004年 2月16日号 代表取締役 専務 花井 宏友
いよいよ今期最終月を迎え、最後の追い込みに拍車が益々かかっている状況の企業が多いのではないでしょうか。最後まで諦めず、打つ手も打ち尽くし、全社員にネジを巻きすぎるほどネジを巻き、必死で頑張られている事と思います。
しかしながら、同じ住宅販売会社でありながら、拠点間に差がつくのは一体何が原因なのでしょうか。単に拠点方針や、販売戦略、それとも販売スキルが極端に抜きでているのか。そんなはずはありません。同じ会社で、同じ商品を販売し、戦略や販売スキルがそう違うはずがありません。
それでは何が違うのでしょうか。最近、私は色々な経営者や、営業責任者とお会いし、少し昔に戻ってきたような気がしています。以前は「気合が入ってない」とか、「熱い思いが無い」といった精神論を論じると、冷ややかな目で見られたものでした。
このような状況の中、単に会社に時間通りに来て、そこそこの仕事をして、帰っていく…そんな社員が増えています。彼らは、何を楽しみに、何を目標に生きているのか見えないようです。
精一杯頑張ったり、努力する事に、何故か虚しく諦めてしまっているようにも見えます。また、そういう人が会社の中に増えてくるとは恐ろしい話しです。
その上、個人目標を達成しようと頑張っている人は、一握りでそれどころか、自分の目標も知らない人まで出現しています。「研修中に個人目標を聞いてみると応えられない人」…とんでもない話しですが、実際にある話しです。
はっきりとしたものは見えませんが、戦略方針や販売スキルも重要ですが、一個人が情熱を燃やし、わくわくしながら、自分の目標に向けて精一杯頑張ろうとするような手立てが必要な気がしてなりません。
過去の手痛い失敗で「事なかれ主義」になってしまった人や、過去に情熱的に頑張ったものの、今は燃え尽きてしまった人達が、何かのきっかけで火がつき、自分の人生の目標も定まり、明日からいよいよ「敗者復活戦」に出場していければ素晴らしいことです。
しかしながら、一旦火がついたものの、それが持続できず、また以前の哀れな自分に戻ってしまい、後はお決まりの最悪の経過を辿ってしまうことが あります。そこで、そうさせないためにも、直属上司と仲間が協力し合い、色々な角度からのフォローが重要になってきます。
いずれにしても、少し地味ですが、部下の成長に関心を持つことが大切です。さらに、大変忙しい中、時には部下の研修にまで立会い、一緒になって課題に取り組み、研修終了後も目を離さずしっかりと育成していけば、半年後には必ず、何らかの成果が出るはずです。
これについては、相乗効果として、マネジャーのレベルアップにもつながります。
使い物にならないからと言って、切り捨てる事は至極簡単な事ですが、潰れてしまいそうな部下をまともにさせてこそ、一人前のマネジャーではないでしょうか。
少し見えにくい所ですが、同じ商品を扱っている販売拠点で、何故このように成果が違ってくるのか…「マネジャーと部下」の関係なども、一つの大きな要因として考えられるのではないでしょうか。一度各拠点のミドルを点検するのも、いかがなものでしょうか。