NKB通信

コミュニケーションの崩壊 -広がるコミュニケーション不全-

NKB通信2004年 3月4日号

最近、コミュニケーションに、変わった傾向が見られるようになっています。

ところで、皆さんは、下の項目に、どれだけ当てはまるでしょうか。
○ 列車の自由席で隣に人が座っている席しか空いていない場合、何も言わずに座る
○ 病院等の受付で名前を自分の呼ばれた場合、返事をせずに受付へ向かう
○ コンビニやスーパーで会計をするとき、無言ですませる
○ ホテルなどで従業員から朝の挨拶をされても、とくに挨拶を返すことはない
○ 混雑した道路などで人ぶつかっても、こちらから「すみません」と言うことはない
○ 列車などで、他人が「お隣、空いていますか?」と声をかけてきた場合、何も言わずに軽くうなづく程度の反応を示す
○ 「依頼の断り」など言いにくいことほど、メールを使うことが多い

実は、上記の行動傾向は「コミュニケーション不全」と呼ばれる人々の特徴です。
コミュニケーションとは本来、双方通行で成り立つものです。
しかし、それが苦手になってしまっている人を「コミュニケーション不全」と呼んでいます。
人とのやりとりが苦手、親しくない人とのやりとりをどのように行っていいかわからない、言葉だけではなくボディランゲージ等も苦手な傾向が強いと 言われています。
ところが、本人は、「他人とのやりとりが苦手だ」という自覚が、ほとんどないのが特徴です。
もちろん、以前から、このような傾向の人がいたのですが、最近は非常に多くなっています。ちなみにスーパーのレジなどで観察していると、10人中、8人位に「コミュニケーション不全」傾向が見られます。
ちなみに、上記の行動傾向で、半分以上当てはまるようなら、あなたも「コミュニケーション不全」傾向が、かなり強いと言えるでしょう。

ちなみに「コミュニケーション不全」の人が増加しているのは、
1. セルフサービスや自動販売機の増加(自分からコミュニケーションをしなくとも、必要な商品やサービスが手に入る)
2. 会社におけるOA機器の操作業務増加(人と話をしない業務の増加)
3. 子どもの時からテレビなど、一方通行のメディアが多く、人と接しなくとも過ごすことができるという環境
などが原因の一つと言われています。
その結果、他人と接する(話すのも、察するのも、挨拶をするのも)ことが、苦手になってきているのです。
実は、ビジネスの現場においても、大きな問題になっています。
例えば、「挨拶」の前提は、「相手が返してくれること」です。

しかし、こちらがお客様に明るい挨拶をしても、お客様が挨拶を返してくれないといった事態が続くと、こちらの挨拶が、事務的に成ってしまいます。
すると、お客様もますます挨拶を返してくれなくなる…このような悪循環に陥ってしまうのです。接客のトレーニングをしても、現場での定着が難しい理由の一つに、この「お客様の変化」があります。
また、研修の現場においても、反応をはっきりと示すご受講者が、最近減っているように感じます。つまり、講師から見ると、ご受講者の皆さんが、研修内容を「わかっているのか、わからないのか」がわからない状態です。これは、当然、企業内においても発生しており、上下でコミュニケーションがスムーズにいかない要因にもなっているようです。

そのため、最近では「コミュニケーション不全」傾向を解消するためのトレーニングを、積極的に取り入れる企業も増えています。
今後もITの進展に代表される、社会環境の変化により、ますます「人とのコミュニケーションが難しくなる」と言われています。
さて、皆様は、この現象をどのようにお考えでしょうか。

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