NKB通信

法令遵守経営の行き着くところ

NKB通信2004年 4月1日号    代表取締役 社長  秦野 浩行

今年に入り、いわゆるコンプライアンス(法令遵守)経営を軽視した結果、一気に経営危機にまで陥った企業の話題が、数多く報道されています。
大手養鶏業者の鳥インフルエンザ隠し事件、大手上場企業の総会屋事件、等々、まだ記憶に新しいところです。
ところが、この「コンプライアンス経営」については、「一時的な不幸な出来事であり、自社にはあまり関係がない」という認識が、一般的なようです。
現実は、日本全体がグローバル経済化によって、欧米並みの競争原理が、より機能しつつある中で、「公正な競争社会」へと転換するための登竜門が、このコンプライアンス経営なのです。 しかし、意外と、この事に気づいている企業は少ないようです。
自由競争を標榜する欧米国家では、商法や独禁法は、日本以上に厳格に運用されています。ご存じのように、法令違反行為に対しては、莫大な賠償が請求される上に、懲罰的色彩の強い制裁金が課せられます。
最近、報道されたEUによるマイクロソフト社の、独禁法違反に対する予想賠償請求額は、その典型でしょう。
自由な競争経済を阻害する法令違反行為は、今後、日本でも取締りが強化されると考えられます。また、そのことが日本が「国際競争基準に基づく公正な市場」として、世界に認知される唯一の道とも言えます。
以上の前提に立てば、決して前述の“一時的な不幸な出来事”との認識は、当てはまりません。むしろ、「コンプライアンス経営」に取り組むことは、公正な市場競争に自社が参加することを意味します。つまり、「勝てる体制作り」に、本気で取り組まざるを得ないことを意味します。
この事こそ、今の日本企業に課せられた「パラダイムダイムシフト」なのです。
既に“公正な競争で勝てる会社作り”に成功した企業の経営施策は、以下の通りです。

◆公正競争覇者企業のコンプライアンス経営体制作り◆

  1. 経営倫理の見直し     (トップの姿勢確立)
  2. 法令遵守社内ルール作り  (行動基準の確立)
  3. 監督責任者の任命と権限付与(指揮采配の一元化)
  4. 法令遵守教育の徹底    (啓蒙と風土形成) 
  5. トラブル対応の仕組み作り (苦情窓口の機能化)
  6. 問題解決の仕組み作り   (意志決定法の確立)

今日、多くの企業では、業績の長期低落傾向に、歯止めをかけるべく、背水の陣で来期の経営方針・目標を固め、かつ、 それらの最終統合に忙しいことでしょう。
まして、最終責任を担う経営者・幹部にとって、今年は「明暗分岐の正念場」といえます。
コンプライアンス経営を推進する場合、トップの意志決定が重要なことは言うまでもありません。 是非、今からでも遅くありません。 「コンプライアンス経営体制構築」の方針を盛り込むことを、お薦めいたします。
コンプライアンス経営は、単なるリスク管理にとどまらず、その行き着くところは“公正な競争下での勝ち組企業”にほかならないのです。

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