NKB通信

新社長として成功するための基本心得!

NKB通信2004年 4月25日号    代表取締役 専務  花井 宏友

一向に進まないイラク問題や北朝鮮拉致問題、日本国内で抱えている問題も、年金問題をはじめ、異様な程、混迷を極めています。 そのような状況の中で、先日出された日銀の企業短期経済観測調査(短観)では、「前向きの指標」で、庶民の家計も景気回復を肌で感じる局面になっているとのことですが、いかがでしょうか。なかなか体感するまでには至らないように思いますが。
さて、今後もまだ厳しい状況が予測される中、各企業では、新しい期に突入しております。
私共のお客様の中でも、世代交代が多くなり、今期より新社長体制でスタートする会社が数多く見受けられます。今までの業績悪化による赤字決算が度重なり、寂しく去っていた社長とは逆に、今までの実績と手腕をかわれ社長に昇格され、建て直しに来られた社長もいらっしゃいます。
「寂しく去っていった社長」とは、一体何がどう違うのか考えてみたいと思います。当然、会社に利益をもたらせられなかった事が、最大の理由とは思います。 しかし、そうなってしまった一番の原因は、果たしてどこにあるのでしょうか。単純に、トップとしての方針戦略が誤っていたのでしょうか。 実際のところ、後任の社長が引き継ぐ中で、確固たる明解なものが、あまりにも少ないのがよくある話です。 かといって、外部環境の他律要因に逃げているのではありません。
私の知りうる限り、やはり「周りの意見を謙虚に聞く耳を持たない社長」が多いように思われます。 こういうタイプのトップは、プライドが高く、なかなか各部署のそれぞれのメンバーとは口をきかず、その為、巷の現場情報が正しく入ってこないようです。 入ったとしても、誰かの手柄話か、耳障りでない「良い話」ばかりのはずです。 また、滅多に社長自身の考え方や、やり方を批判するような意見などは届いてこないのが普通です。 そのことが、組織が沈滞していく始まりです。ましてや、そのことに気づいていない社長がほとんどで、逆に自分自身こそが、「性善説に基づく経営」を自負している事が多いようです。
「誤った方針戦略は、戦技戦術では取り返せない」と言われます。しかしながら、神様で無い限り、人は誰しも間違いを起こすものです。 上記のタイプの社長は、正しい「生の現場情報」を伝えようとしても、「社長が気にいる形」に加工されてしまうのが、寂しい限りです。
今までに、生情報を正直に伝え、ひどい目にあった人を何人も見てくると、誰一人として、その様なことをする人はいなくなってしまいます。 こうなると、組織の辿る道はもう決まってしまいます。自分の事ばかり考えている「取り巻き」の中に、正に居心地良くドップリはまってしまった社長の打つ手とは、限られた誤った情報の中だけで考えられた「誤った方針戦略」になりやすいものです。これが、全社員を不幸のどん底に導いてしまうのです。 あまりにも幼稚な話ですが、実際、この手の似かよった話は、時折よく耳にします。
そこで、新社長として成功するための重要ポイントは、まずは誰よりも謙虚になり、正しい現場情報が入りやすくすることではないでしょうか。 そのためには、焦らず時間をかけ自分自身が誤解されないよう、正しく理解されるために、社長ご自身から末端社員まで時間の許す限り近づき コミュニケーションをとる事からスタートして下さい。また、個人面談などでは、本音が出るはずが無い事を心しておいてください。 “1日に何回ノーと言われようか”などと目標を持ち、“今日も○○部長から嫌な事を言われたよ”などとぼやくのも楽しいものではないでしょうか。
そのうちに、正しい現場生情報の中から、主要幹部と相談しながら、経営の根幹をなす、方針戦略の骨格を検討するのも一つのやり方ではないでしょうか。

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