環境激変時にこそ「謙虚な心」を大切に!
NKB通信2004年 6月16日号
幾度とも語っている言葉であるが、企業を囲む環境は、過去に例を見ない「激変の時代」の真っ只中である。
「平成維新」という言葉が飛び交っている所以である。このことは、企業だけに当てはまる言葉ではない。一人一人にも当てはまる言葉でもある。
先般、環境の厳しいなかでも、好業績を上げ続けている会社の社長と、面談をする機会があった。1時間程の仕事の打ち合わせの後、社長曰く、“私の考えに何か間違っていると思ったことは何でも言って欲しい!”。言葉の奥に真剣な眼差しがある。この会社は、現社長が創業し、業績も順調で、
外部の人から見たら、一見順風漫歩の企業でもある。私は、その言葉に、かってみないほどの言葉の重さを感じた。
「人間は謙虚さが大事だ!」と幾度と言われてきた言葉である。この言葉は親にも、学校の先生にも、新入社員研修でも幾度となく言われてきた一見ごく平凡な言葉である。
同じ言葉でも、こんなに違うものを感じさせるのかと。成功している企業や経営者は勿論、どのステージにおいての成功者といわれる共通点は、「謙虚さである」というごく平凡で、一見当たり前言葉の「真骨頂」を体現させて頂いた。
本当にできた人は腰が低く、他人の意見を謙虚に聞いてプラス志向で、良いと思うことは誰が言ったということは気にせず素直に取り入れる。
言った人も本当に親身になって、その人の為に真剣に考えてアドバイスをしてくれる好循環になるのである。結果、益々その人成長する好循環に入るのである。企業も同じことがいえる。
ところが、反対に中途半端な小利口な人は、放漫で人を小馬鹿にしたような態度をとり、何か隙があれば突っ込んでやろうというような減点志向がうかがえる。結局は誰も意見をしてくれなくなる。そこで、その人の成長も止まると言っても過言ではなかろう。
言葉で「顧客第一主義」「CS」「CD」と言葉は変えてみても、言葉だけの経営におぼれていれば、会社の成長が止まり、衰退するものであるのは、至極当然である。
昔の諺に「鯉は池の大きさに応じて大きくなる」というが、企業も人も自分の器以上に伸びられないという所以であろう。
「易しいことを易しく言うのは易しい、難しいことを難しく言うのは易しい、しかし、難しいことを易しく言うのは難しい。
小難しいことを言っている間はまだ本物ではない」と言われる。ややもすると、我々も当たり前の事を難しく言うのが権威であると勘違いしていることが多いのではなかろうか。
優越感からは進歩は生まれず、素直な心から人が集まり、知恵が生まれ進歩が始まる。
なんだ、こんな平凡(当たり前)な事と思うか、反対に平凡(当たり前)な事に何かを感じる心の姿勢と平凡(当たり前)な事を、執念深く、確実に実践し、やり切る事が、今の激動の時代をのりきる鍵が潜んでいるのではないだろうか。
私は、清々しい余韻を感じ、“この会社の発展は間違いない”と確信しつつ、帰路についた。感謝、感謝。