NKB通信

『社員の辞め方でわかる経営課題』

NKB通信2005年 7月1日号    代表取締役社長 秦野浩行

今多くのクライアント企業では、厳しい経営環境の変化に適応する為に人事評価制度とりわけ給与制度の改定に取り組んでいます。
その最大の狙いは、長年続いた不況で目減りしてしまった経営原資を“貢献による報酬の原則”に基づいて少しでも社員に公平に配分しようと するものです。
当たり前なことですが、仮に同原則が機能しなければ優秀社員から辞めてしまいます。事実、多くの勝ち組企業がこの“貢献による報酬の原則” を厳格適用しているのです。
とはいえ、新給与制度でその打撃を受ける社員の中には、この当たり前な経営論理も年収保証の“良い会社”からレッテル思考の“冷たい会社” への大転換とその目に映り会社への帰属心の消失とともに退職する者も出てきます。退職者が異口同音に発する『生活ができない』の恨み節に対し、 『あなたの生活が出来なくなる前に会社経営ができなくなります!』と返答する社長も少なくありません。
長年続いた右肩上がりの経済成長と会社発展の陰で、いつしか社内に甘えの意識が醸成されてしまった感が致します。

ある会社の営業ケースですが、過去に先輩が新規開拓をした顧客を引き継ぎ、長年お守り営業をする傍ら、その恩恵報奨金に与ってきた営業者が自力貢献と勘違いをし始めた頃から深耕提案や新規開拓活動を止めてしまったことに気づいた営業部長が『それは他力営業力でしょう』と指摘した途端、 正に青天の霹靂と言わんばかりに『いや、営業事務だって人知れぬ大変な仕事で貢献に変わりはないですよ!』と議論になった。
そこで、営業部長は『営業事務がコア業務なら、別にあなたでなくても他の事務職で勤まるのでは?』と諭すも、今度は逆に『お守り営業を命じたのは会社です!』と反論され、何も言えなくなってしまったとのこと。何とも笑えない話です。
事の重大性に気づいた同社ではその後、下記の自力営業力(自力業績)とは何かの定義を定め当たり前なことへの啓蒙に力を入れ始めたのです。

◇自力開拓営業力の代表例◇

現市場:新規開拓営業力・深耕営業力・休眠客掘り起こし営業力
新市場:異業種開拓営業力・関連業種開拓営業力

考えてみれば、このような定義を明文化しなければならなくなったこと自体がそもそも異常なこと。事実、 多くのトップ営業者にはこのような定義は余り意味をなしません。
何故なら、もともとトップ営業者の大半業績が上記1の“自らの探客活動と提案活動を通じて育成した新規開拓受注”だからです。 またトップとしてのプライドがこの選択しか許さないのです。逆に成績不振営業者ほど上記2.3に固執し、1.の新規開拓には目をつぶる。
今、大切なのは経営者も社員も経営の原点に立ち返り、何を英断し、何を受け止めて、何をすべきかを明確にすることで、 単に良い会社から勝ち残れる強い会社を目指すことなのです。

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