私が体験したCS事例!
NKB通信2005年12月8日号 取締役 研修部長 島根 敦
おかげ様で、昨年度は年間190日弱という、これまでで最高の日数の研修を担当させていただきました。ご指名を下さるクライアントの皆様に、
心より感謝申し上げます。したがって前回コラムで取り上げた、毎年恒例の秋の伊豆旅行も今年は1泊がやっとでした。しかも、
東名高速が事故で大渋滞…。行って帰ってきただけでした。ということで、久々のコラムです。今回は私が体験したCS事例等を紹介します。
◎満足事例①
東京での研修を終え、新大阪のホテルへチェックインした時の話です。
私は煙草を吸わないので、禁煙ルームを希望したところ、「申し訳ございません、一杯です」との返答。そこで「臭いは大丈夫ですか」と確認をしました。
こういった場合、ホテル側の対応は、次の2つがほとんどです。
パターン1:「多分、大丈夫でしょう」
パターン2:「大丈夫だと思いますが、もし気になるようでしたらおっしゃって下さい」
1は、お客様の気持ちを汲んでいない、親身さに欠ける良くない対応です。2は、まずまずでしょう。しかし、そのホテルの対応は、
「すぐに確認して参りますので、少々お待ちいただけますか」というものでした。
考えてみれば、予約の段階や事前に禁煙ルーム希望である旨を、伝えていないこちらにも問題があるのに、わざわざ確認をしに行ってくれたのです。
結果的には、当初の予定の部屋は臭いが残っており、違うお部屋にしていただくこととなりましたが、お陰様で快適に過ごすことができました。
移動が多く、年の半分以上をホテルで過ごす私どもにとって、ホテルが快適であるのは大変有り難いことです。
これが1泊数万円する高級ホテルなら当たり前かもしれませんが、通常のビジネスホテルでの出来事です。
なお、翌日の朝食会場の担当者も大変元気良く、気配りある対応で気持ちよいものでした。
◎満足事例②
研修を終え、次の研修場所へ移動するとホテルのチェックインが深夜になってしまうことは珍しくありません。そういう時は、一刻も早くチェックインし 休みたいものです。しかし、何度も泊まっているホテルにもかかわらず、いちいち宿泊カードに名前と住所を書くのは結構面倒なものです。 (普通は、数日前に宿泊した場合でも、また一から書かなければいけません) しかし、このホテルは、何回か続けて泊まっていると、いつの間にか住所・会社名をホテル側で記入してくれたものを用意してくれるようになって いました。チェックインの手間が省け、大変助かります。 ここのところ、そのホテルへ泊まる機会が無かったのですが、先日久々に泊まる機会がありました。1年ぶり位でしょうか。 久々だったので、以前のような対応を期待はしていませんでした。ところが1年ぶり位でありながら、フロントに行くと、 私が名前を言うより早く宿泊カードを取り出しはじめました。覚えていてくれたのです。 しかも、そのフロントの人は私が覚えていない人でしたので尚更驚きました。勿論、カードは記入済みのものでした。 これも1泊数万円する高級ホテルなら当たり前かもしれませんが、通常のビジネスホテルでの出来事です。 いかがでしょうか。事例①は『期待以上行動』の実践であり、事例②は『個別対応』の実践です。この二つはいずれもCS成功上のポイントです。
●不満事例
最近急成長しているホテルチェーンでの話です。
フロントの女性の声がとにかく小さいのです。それも印象が良くないレベルではなく、聞きとりにくいレベルなのです。ホテルのフロントにとっては、
笑顔で明るく大きな声というのは基本中の基本だと思いますが、それができていませんでした。
実は、このホテルチェーン、他のホテルに泊まった際も、「レストランの人が欠伸をしている」「フロントの対応が遅い」などの体験をしています。
どうも、急成長に人材の育成が追いつかない様子です。
○???事例
インターネットにお客様の感想が公開されていることが多くなりました。宿泊予約サイトの大手である『旅の窓口』にもお客様の声が公開されています。
しかし、最近その声を読んでいると感じることがあります。それは、わがままなお客様が増えていて、自分勝手な要求をするケースが増えていることです。
例えば、あるホテルへの投稿内容は以下のようなものでした。
朝食をとろうと会場へ行くと、既に終わっていて大変不満だったという話なのですが、朝食会場へ行った時間が規定時間を少し過ぎているのです。
それに対し、不満を言っているのです。
これは、筋違いというものではないでしょうか。
ルールを守らないお客様の要望にまで対応していたら、経営は成り立たなくなりますが、最近は権利意識だけが強く、
そういったお客様が増えているようです。
例えば、住宅の維持管理は持ち主が自己責任で行うのが当然です。しかし、大手ハウスメーカーの担当者に話を聞くと、
何でもかんでもアフター担当者に依頼をしてくるお客様がいるとのことです。例えば、「雨樋に落ち葉が詰まったのでとってくれ」
という要求があるそうです。有償で良いからやってくれというのならわかりますが、当然無償でやってくれというのです。これでは、
単なる便利屋となってしまいます。
なお、最近はそういうお客様が多くなったためか『過剰要求顧客への対応法』という研修ニーズも増えています。
CSを行うのは経営にとって当たり前のことです。しかしながら、一部のお客様の不当な要求まで対応することがCSなのでしょうか。
それをやると、他の真面目なお客様が馬鹿を見てしまいます。また、ES(=従業員満足)も低下してしまうことが危惧されます。
さて、今日泊まるホテルは満足か不満足か…。