NKB通信

『わかりやすい話をしていますか?』

NKB通信2008年 7月2日号    常務取締役 島根 敦

最近経営層が指摘する営業担当者の問題として『本来の営業活動に充てる時間(例:有効商談件数)が少ない』という点があります。
例えば、苦情対応に追われる、電話が長い、見込みの薄い見積を時間をかけて作成する、等々です。つまり、本来は必要のない業務に時間を割かれ、本来の営業活動の時間が減少する点です。
これは、実はコミュニケーション能力不足が、その原因の一つなのです。苦情の解決に時間がかかるのは、結局「相手が何を怒っているのか」を迅速・正確に掴まないためです。そもそも、苦情発生の原因がコミュニケーションギャップであることも、少なくないでしょう。また、見込みの薄い見積作成は、「相手の本心」を見抜くことが出来ないからです。

コミュニケーションギャップは社内でも見られます。管理職の立場の人は、部下に指示した事柄が、その通り実践されていないという経験はないでしょうか。
指示をした際、部下は「わかりました」と言ったにもかかわらずです。また、部下の立場の人は、上司の指示通りに実施したのに、「そうじゃないよ、違うよ」と指摘をされたことはないでしょうか。 これらは、全てコミュニケーションが正確にとれていないためです。

若い人のコミュニケーション能力が低下していると言われていますね。しかし、コミュニケーション、特に『話す力』に課題がある人は、ベテランにも多く見られることであり、若手社員だけの問題ではありません。
よくあるのが、「話が長い割には、結局よくわからない」ケースです。研修中の発表でも、一人で長時間喋る人がいますが、その割によくわからず、運営に困ることがあります。

そこで、今回はコミュニケーション力、特にわかりやすく話すヒントをまとめてみました。

《日本語の難しさ》
日本語は、世界の言語の中でも難しい言語の一つとよく言われます。
以前、ある会社の研修の参加者に韓国出身の人がいましたが、流暢な日本語を話していました。その方と休憩時間に話していたら「日本語ほど、難しい言語はない」と言っていました。

日本語の難しさは、以下のような原因があります。

1) 同音異義語があり、耳で聞いただけでは判断できない場合がある。(例:確信・核心・革新)
2) どちらとも取れる表現があり、間違いやすい。(例:結構です)
3) 曖昧な言葉が多い。(例:すぐに・なるべく・一応)
4) 読点の打ち方によって、意味が変わる。
例えば、「去年貯金したお金を使ってしまった」という文章は、「去年、貯金したお金を使ってしまった」という場合と「去年貯金したお金を、使ってしまった」という二通りの意味があります。
5) お客様は、言葉と本音が違うことがある。(例:検討する気はなくても「検討します」と言う)
6) 自分の都合良いように受け止めてしまう。
これらは、日本語特有のものばかりではありませんが、上記理由から、実は日本語は非常に難しい言語なのです。

つまり、わかりやすい話をする第一歩は、『コミュニケーションは難しい』と自覚することです。

その上で、行動面をどうするかですが、コミュニケーションギャップが生じやすい人の特徴は以下の通りです。

1) 曖昧な言葉を多用する傾向がある。(例:「普通に○○」)
2) 適切に表現する語彙力が乏しい。(例:絵文字は使えるが、それを言葉にできない)
3) 自分でも意味を正確に理解していない言葉を安易に使用する。
4) 対立を恐れ、不明点があっても聞かない。(例:わかったふりをする)
5) また、明確に反対の意思表示をしない。(例:依頼を断れない)
6) 言葉の奥にある真意を読み取らない、読み取れない。
自分にも、上記傾向があてはまると言う人は、たとえ相手が頷いていても、実は正確に伝わっていない恐れがあります。

以上のことから、上手な話しのポイント例をまとめると以下のようになります。

1) 「何を言いたいのか」という結論を明確にしてから話す。
2) 結論から話をする。(結論⇒理由⇒経過の順に話をする)
3) 箇条書きトークを活用する。(例:この商品のメリットは3つあります。1つめが~、2つめが~…)
4) センテンスを短くする。
5) 修飾語と被修飾語を離さない。
例:昨年貯金したお金を使ってしまった⇒昨年、貯金したお金を使った場合は、「貯金したお金を、昨年使ってしまった」とする。
6) 無駄な言葉を省く。(例:必要であると言えます ⇒必要です)
7) 適切な読点を打つ、話をする場合は、間をとる。
8) 語尾をはっきり言う。
9) 曖昧語を使用しない。

上記をヒントに、わかりやすい話でコミュニケーションギャップをなくしましょう!


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