『会議運営を改善してはいかがですか?』
NKB通信2010年10月6日号 常務取締役 島根 敦
最近、“ファシリテーター”という言葉をよく聞くようになりました。
ファシリテーションとは、「促進する・助成する」という意味であり、ファシリテーターとは、一般的に“会議等を円滑に進める役割の人”として使われています。
この言葉をよく聞くようになったのは、逆に考えれば、それだけ会議が上手くいっていないことを意味しています。
確かに、弊社にも最近「会議運営力」をレベルアップする研修依頼が増えています。
そもそも会議とは何なのでしょうか。
会議とは『何人かの関係者が集まって、ある題目について何らかの判断や決定を下すために話し合うこと』が定義例です。つまり、何かしらの議題があって、それに対し参加者が議論し、結論を出すのが会議です。
しかし、現実はいわゆる『会して議さず、議して会さず』状態に陥っているケースが少なくないようです。
会議が上手くっていない具体的な現象は以下の通りです。
1.上位役職者がほとんど一方的に喋る、単なる“伝達”になっている
2.遅刻があり、開始時間が守られない
3.終了時間が明確でなく、いつ終わるか分からない会議。終了時間が明確でも守られない
4.直前に招集がかかり適任者・決定権者が出席できない。
5.自分勝手な欠席者がいる
6.司会者が事前に決まっておらず、直前指名でちぐはぐ進行となる
7.司会者の能力不足で、会議を仕切ることができない
8.議題が“討議事項”なのか、“報告(伝達)事項”なのかがはっきりしない
9.会議途中に勝手な離席や携帯電話チェック等が発生し、議論に集中しない
10.会議中に、内職している人がいる
11.議題そのものがはっきりせず、参加者の捉え方がバラバラである
12.会議時間が長すぎて、集中力が続かない
13.会議会場が適切ではなく(例:狭い・暗い・暑い・寒い)、集中できない
14.終了時間が迫り、議論不足なのに慌てて結論を出そうとする
15.時間がかかる割に何も決まらない
16.事前に必要資料が配られず、資料を読む・説明するための無駄な時間がある
17.事前に準備を実施してこない参加者がいて、バラツキがある
18.一部の人しか発言しない
19.発言が長くて、よくわからない人が多い
20.枝葉の議論になっても、元に戻さない
21.議論が下手
①参加者同士が、感情的対立になる
②代案なき批判が多い
③突き詰めた議論にならず、なぁなぁの議論になる
④論点が明確にならない
⑤最後は、声の大きい人、上位役職者、経験の長い人の意見で決定してしまう
22.決定内容が曖昧ではっきりしない
23.決定内容が、参加者によって受け止め方が異なってしまう
24.議事録が迅速に作成・配付されない
25.会議で決められたことが実行されない
いかがでしょうか。皆様の会社には、上記のようなことはありませんでしょうか。
組織で仕事をする以上、会議は必ず必要です。しかし、上記のような現象があれば、結果として、何度も会議を開くことになり、不要な会議が多くなってしまいます。
コスト削減が叫ばれていますが、多くの参加者に集まってもらう会議には、会議時間以外にも、会場までの移動時間も含め、大きな時間コストがかかっています。
効率的・効果的会議を開催できるようになることは不可欠でしょう。
ところで、何故非効率な会議になるのでしょうか。それは大きく二つあります。
一つ目は、司会者・参加者のスキル・能力不足です。
司会者も参加者も、上手な会議とはどんなものなのか、どうすれば上手な会議になるのかという教育を受けている人は少ないのが実態ではないでしょうか。
つまり、会議や議論、司会の仕方を知らないのです。それが、非効率的会議を生んでいます。
実際、あるクライアントでは、管理職クラス全員に会議運営力研修を実施したところ、司会者の心得、参加者の心得、議論の心得等が共通認識になりました。その結果、その会社における会議の型が確立され、明確な改善が図れました。
では、非効率会議の二つ目の原因はなんでしょうか。
実は、その会社の“風土”なのです。風土によって、その会社の会議形態は決まります。
例えば、トップダウン風土の強い会社では、結局は上層部の意見=結論になるので、一般社員から意見は出にくくなり、上位者が一方的に喋る会議になりがちです。
仲良しクラブ的風土の会社では、意見は皆言いますが、他の人の意見に対しイエス・ノーをはっきりせず、議論になりません。また、司会者も仕切りきれず、なぁなぁの結論になりがちです。
会議の効率化を図るには、参加者のスキル向上だけではなく、風土改革の視点が必須となります。
また、その点を意識して研修等を実践しないと、単なるスキル研修となり、一過性になりがちです。
逆に考えれば、会議運営を改善することは、単なる会議の改善に留まらず、風土改革につながる、大変重要な改善です。
皆様も風土改革を狙い、会議を見直してみてはいかがでしょうか。