『創業理念は不信解消の奥儀なり!!』
NKB通信2011年1月13日号 代表取締役 社長 秦野浩行
昨年は、業績不振が経営者への不信につながり短期で倒産した会社が少なくありません。
不況下の経営常套手段でもある経費節減の名のもとに、昇給も止まり、ボーナスも減り、挙句の果てに会社行事の飲み会も社員自腹参加となれば社員のみならず、その家族の不信感も頂点に達します。
また、経営の中枢を担う幹部でさえもグリーン車利用の廃止、自腹交際費、OA機器の自腹購入等の出費が嵩み、経営者に対する恨み節が蔓延です。
その上、仕事が減り残業代も減れば、たちまち誰もが生活困窮者です。
その責めを一身に背負うのが経営者の宿命ですが、その負い方も度を過ぎれば下記のような内部崩壊で会社が倒産するのです。
◇経営不信の会社崩壊症状◇
1.優績者の優遇対応に批判が集中し、優績者が肩身の狭い思いをする
2.仕事が取れない理由を全て経営力(お金に関わること)のせいにする
3.一番早く、多くカット済みの経営者の報酬をもっと削るべきとの悪平等論になる
4.経営者の戦略的経費(立場の違いで社員が理解できない経費)の使い方まで批判する
5.専門職社員は既得権化した過去の高額報酬が減るとやる気が失せ、良い仕事をしない
6.経営提言の名のもとに社員は公然の場で上記の内容を自己主張し始める
7.信頼関係で結ばれ共に頑張ってきた経営陣までもが上記の症状を呈し、絆が切れる
その一方で、弊社のクライアント企業の中には、大不況に関わらず会社の結束をもって業績を維持、回復させ、経営者や社員相互の信頼関係をより強化している会社が存在します。
それら再起会社の共通点は、“創業期の経営理念への回帰”で、今一度全社員が会社の良さを思い出し、そのさらなる実現を諦めずに頑張ろうという気概を取り戻し働いています。
思い起こせば、経営者は理念をもって会社を設立し、幹部は同理念に共鳴し経営参加し、社員も同理念に安心して入社した筈です。
正に“ボロは着てても心は錦”の組織集団だったのです。
“こんな理想とする会社にしょう!”の“錦の旗”こそが実は信頼の源泉なのです。
◇信頼回復の創業理念の例◇
地場A社理念:“先ずは社員が幸せになり、その幸せでお客様も幸せにしよう!!”
理念発揮状況:大手企業が次々と撤退し失業者が増加する中で、確実な雇用と下請け仕事の確保と言う社会的使命を再認識し、併せて“この会社で働ける幸せ”をそれら活動の原動力にする。正に自分にとっても関係者にとっても“無くてはならない会社!”にする。
大切なのは“理念は時代の流れで当てはまる事象が変わる”との捉え方で、今に合った新たな意義づけを経営者が行う必要があります。
その上で経営者が熱く、理念の意義を何度も説明することです。
必要があれば、外部の弊社のような講師を招き、その意義を理解させる講演も効果的です。
今こそ、経営者も社員も自社の“創業理念”を勝ち残る条件として再検証してみて下さい。