NKB通信

『“強み”を明確に把握できていますか?』

NKB通信2011年10月4日号    常務取締役 島根 敦

営業担当者研修にて、参加者へ「あなたの強みや得意技は何ですか」聞いてみると、漠然としたものや一般的でありきたりの事柄が多く、 明確に答えられない人が少なくありません。
例えば「誠実に対応すること」「迅速に行動すること」「お客様の立場に立つこと」などで、中には「強みは特にありません」という人すらいます。 これは、謙遜しているわけではなく、本当に自分では把握できていない人がほとんどです。 なお、この強みを明確に言えない傾向は、成績が伸び悩んでいる人に多く見受けられます。

P.ドラッカーは、成果を上げるためには五つの能力が必要であり、その一つが「強みを基盤に据えること」と述べています。 つまり、自己の強みがわからずに基盤としていないため、成績が伸び悩んでいるのです。

また、自社の強みでも同様のことがよく見られます。営業担当者研修で自社PRをしてもらうと、自社の強みを訴求できないケースが珍しくありません。
自社PRとならず、自社紹介にとどまってしまいます。例えば「社員○名で年商○億です」「拠点が全国にあります」などです。 自己の強みを理解できていないのと同様に、自社の強みも意外と理解できていません。
しかも、これは大企業・有名企業・シェア1位企業ほど、強くなる傾向があります。 先日も、あるクライアントの営業担当者研修を担当させて頂きましたが、やはり自社の強みを明確に訴求できませんでした。 しかし、そのクライアントは全国№1の企業であり、他社と明確に差別化できるポイントはいくらでもあるのです。 強みを活かし切れていない、大変もったいない状態でした。

さて、このコラムをお読みの方、自己および自社の強みを明確に言えるでしょうか。
また、マネジャーの方、部下は自己の強みを明確に自覚できているのでしょうか。
実は、これが結構難しい‥。

ドラッカー曰く、『知っている仕事はやさしい。そのため、自らの知識や能力には格別の意味はなく、誰もがやっているに違いないと錯覚する。 逆に、自らに難しいもの、不得手なものが大きく見える』。このように、自分の強みは自分では把握し難く、欠点ばかりに目がいきがちになります。
だから、こうも言っています。
『他社はうまくできなかったが、我が社はさしたる苦労もなしにできたものは何かを問わなければならない』。

確かに、アキレス腱となっている最大の弱みを改善することは必須です。しかし、成果を上げるためには、それと同時に強みを活かすことも必須でしょう。 自分の強みが明確に言えない人や、そういう部下をお持ちのマネジャーは、一度他者から見た強みを指摘しあう機会を設けることをおすすめします。

実際、あるクライアントの研修で、参加者同士で“お互いの強みを言いあう”ことを実施しました。
参加者は八名でしたので、一人づつ前に来てもらい、他の七名がその人の強みを指摘することを、全員実施しました。 最初は、お互いにきちんと指摘し合うことができるか、こちらも不安でした。 参加者は、もっと心配だったらしく、自分の番が回ってくると、「きちんと言ってもらえるだろうか。 皆、何も言わなかったらどうしよう」と、大変不安そうな表情で前に座りました。
しかし、その心配は全くの杞憂でした。 始めてみると、出る、出る、次々と強みが出ました。最初は不安そうだった人の顔が、みるみるうちに変わっていきます。 「では○○さんの強みを言いましょう」と始めてすぐに数名が挙手をすると、ホッと安心した表情になり、嬉しそうな顔に変わります。 次々と強みの指摘が続くと、徐々に意外そうな顔をします。そして、最後は自信ある顔つきになっていきます。 最初の不安だらけの顔つきとは大きな違いが、わずか数分で起こました。
この姿を見ていて、ドラッカーの言うとおり、人間というのは強みが沢山あるのに、それを自分では把握できていないというのを改めて実感しました。
また、他者から強みを言ってもらうことは、自己を再認識するためには必須でもあると感じました。

人間には偉大な能力があります。他人より優れている点が全くないという人は一人もいないと私は思っています。 皆が自分の強みを把握し、それで勝負できれば、もっともっと大きな成果が上がります。
なお、会社の強みを理解できていない人は、懇意にしている自社のファン客に、「何故、自社と取引をしているのか」を一度尋ねてみて下さい。 自分が思っていないような、意外な答えが返ってくるかもしれません‥。

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